①ご近所さん:おーじろうファン
お向かいの建具修理屋さん。もう80を超えたおじいちゃんとおばあちゃんが
2匹の猫と暮らしている。息子さんが郊外に住んでいて、東京近郊の農家から
仕入れた野菜や卵を店先で売っている。平日の昼間は結構近所のおばさんたちが
買いにきて朝採れの新鮮野菜はけっこう人気らしい。
で、このおじさんが大の犬好き。
おーちゃんおーちゃんとかわいがってくれるもんだから、その気になったおーじろうは
前を通るたびに「おじさんいないかなー」とのぞいてみて、いないとがっくり肩を落とす。
いるとそれはもう尻尾はちぎれんばかり。突進!
マテもツケも聞いちゃいない。嬉しくてじゃーんぷ!ああ・・・
しつけのできていない犬丸出しじゃないかぁぁぁぁ恥ずかしい。
そしてこの夏、おじさんのTシャツの袖をちぎってしまった・・・ごめんなさい。
おじさんはそのTシャツはずっと愛用して、「おーちゃんに穴かけられちゃってさ!」といいながら
嬉しそうに夏中着てたっけ。ありがとうおじさん。
おじいちゃんもおばあちゃんも犬好きでいつもニコニコおーじろうバトルの様子を見ている。
「うちにも柴がいてね。20年生きたんですよ。犬欲しいけどお散歩がもうねぇ」とおばあちゃん。
そんなこんなで犬を介して話をするうちに、すっかり顔見知り。
前を通るたびおじさんがいるとおじろが突進するので、必然的に挨拶することになるんだけど。
卵や野菜は私もときどき買っている。
さすが朝採れ野菜。虫もいるくらいおいしい(いると泣くけど)。
そのお宅と仲の良いお総菜やさんのおばさんとも
(お総菜のおばさんは孫がちょうど同じ歳ぐらいで犬より子供が好き)
話すようになり、商店街ですれ違っても「あらお散歩ね~」と話しかけてくれる。
おーじろうファンは他にもいろいろいるらしい。先日も駅で「おーちゃん?おーちゃんじゃない?」
と見知らぬ女の人二人に声をかけられた。しばらくなでなでした後
ポケットから飴を出して、なぜかQたろうにくれた。
誰だったんだろう・・・
②ご近所さん:Qたろーファンそのいち
向こう三軒くらいのこれまたしぶい業種、簾を作る家がある。
入り口のガラス窓から素材になる竹やら簾を編む織機のようなものが見えている。
職人さんとおぼしきおじいさん。ときどき家の前で体操しているんだけど
Qたろがこの家がとても気になるらしく、ある時扉が開いてるときにてくてく入ってしまった。
おじいさん大歓迎?で、竹の棒をくれたりして、「いくつ?どこ住んでるの?」
なんて話題をお嫁さんとおぼしきおばさんとともに会話する。
もらった棒を持って玄関のたたきに座るQたろ。
こういう職場はめったに見られない。
そこにご近所のおじいさんがやってきて「おや、孫かい?」
簾のおじいさん「ああ、孫みたいなもんだ」
孫はかわいいなぁ、で、話は盛り上がるおじいさん達。
そこにまたご近所の別のおじいさんがやってきた。
簾のおじいさん「こないだNHK出てたのみたよ」
別のおじいさん「おれは知らないんだよ」
どうやらTVの地域紹介番組でインタビューされたけど
自分はみてなかったらしい。
寄ってくる蚊を気にしながら夏の夕暮れ時のじじ放談。
蝉がカナカナないている。
Qたろはたたきに座っておばさんのぞうきんがけをみている。
なんか懐かしい時間。
そして「孫はいいなぁ」といいながら別のおじいさんはチャリで行ってしまった。
どうやらQたろーは簾屋のじいさんの孫と思ってしまったらしい。
以降、簾屋さんの前を通るときにおじいさんとおばさんがいると
「おっ!」といいながら立ち寄るQたろーであった。
いなくても入ろうとするのを止めることもしばしば。
③ご近所さん:Qたろーファンそのに
朝、高架の脇を歩いていると、高架の下に小さな工場を構えているおじさんが
Qたろーに声をかけてくれる。
「おや、今日はパパじゃなくてママとだね?」
どうやら父ちゃんとQたろーが前にここを通ったときにやりとりがあったらしい。
「うちの機械をじーっと見て動かないんだよ、やっぱ機械に興味があるって男の子だね!」
「うちは女の子だからぜんぜん機械なんて見なかったよ!」
とても元気なおじさん。
次の日も同じ時間にそこを通ると家の前でにこにこ待っていた。
「おはよう!おや、今日もママと一緒だね!」
「ほれ、うちの仕事手伝ってくれるか?」
Qたろーが工場の中をのぞくと嬉しそうに言う。
「バイバイ!」とQたろーが言うと、「お!元気がいいな!バイバイ!」と見送ってくれる。
前に進むのに時間がかかりつつ少し離れて振り向いてもこっちを見てバイバイしている。
よほど子供好きなんだなぁ。ここでも「孫みたいなもん」なんだな。
犬と子供がいなければ、話をすることもなかったであろうひとたちと挨拶するようになる
ご近所に知り合いができる。おもしろい。
でもこれ、犬と子供がセットなのがポイントかしら。
今まで8年Oじろと暮らしてきたけど、こういうのはなかった。
前に住んでた世田谷という土地柄もあるかな。
この辺はやっぱり商店街のはじっこの下町風なところがあるからかもしれない。
若い頃ならこういう関わりはわずらわしいと感じただろうか。
ご近所さんと顔見知りになって、会えば挨拶して他愛のない話して。
ほっこりした気持ちになるきょうこのごろ。
こちらは実家のばあばから届いた蕪をもって
「Qたろーくーん!」「はーい!」