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SIGCOMM2009 TPC

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SIGCOMM2009のTPCを引き受けた。来年は以下のようなメンバーとなる。
http://confereces.sigcomm.org/sigcomm/2009/organization.php

2005年にやった時は、少数TPCでレビューをする試みがなされ、ひとりで40本ぐらいレビューすることになった。 2ヶ月ぐらいひたすらレビューに追われて大変だった。
今回は人数も多いが、それでも30本ぐらいレビューすることになりそうだ。2月、3月はレビュー漬けの日々をおくることになる。

論文レビューは、ボランティア仕事でぜんぜん割には合わないが、研究者にとっていろいろ新しい知識を得られるいい機会だ。締め切りに追われてレビューしている時は本当に苦しいこともあるが、よいコンファレンスだと頼まれるとまた引き受けてしまう。

Context-aware Clustering of DNS Query Traffic.
David Plonka and Paul Barford.
IMC 2008, Vouliagmeni, Greece. October 2008.
http://www.imconf.net/imc-2008/program.html

Dave PlonkaからTreetopというDNSトラフィックの解析ツールを作ってIMCで発表すると報告をもらった。
これには僕が以前書いたaguriというツールを改造して、DNSの名前ツリーのクラスタリングをする機能を実装している。aguriを書いたのは2001年でずいぶん前のことになるが、こうしてコードが再利用されるのは嬉しいものだ。
aguriに関しては、まだいろいろアイデアもあるので時間を見つけて更新したいと思っている。

12月のACM CoNEXTで発表する論文を公開した。

Kenjiro Cho, Kensuke Fukuda, Hiroshi Esaki and Akira Kato.
Observing Slow Crustal Movement in Residential User Traffic.
To appear in ACM CoNEXT2008. Madrid, Spain. December 2008.
http://www.iijlab.net/~kjc/papers/kjc-conext2008.pdf

これはSIGCOMM2006論文の続編となる論文で、国内のブロードバンドトラフィックの解析をしている。今回のテーマは、ビデオ系のコンテンツが増えているにもかかわらずインターネットのトラフィック増加率には大きな影響がない現状についてで、依然p2pトラフィックが8割を占めているが割合が減ってきていることと、一方で一般ユーザのトラフィック量が増えてきていることを報告している。

Constantine Dovrolis.
What would Darwin Think about Clean-Slate Architectures?
ACM CCR, vol 38(1), January 2008.
http://www.cc.gatech.edu/fac/Constantinos.Dovrolis/publications.html

ここ数年、ネットワーク研究の分野では、Future Internetと称してアーキテクチャをいちから設計しなおそうという活動が活発である。そして世界中で政府系の研究予算の多くが投入され、その分その波に乗らない研究予算が削られている。本論文は、このような傾向に正面から疑問を呈している。

論文では、複雑なインターネットの進化を生物の進化に例えながら、進化(evolution)的アプローチと再設計(clean-slate)的アプローチを比較して、既存のアーキテクチャをもとに進化することの優位性を主張している。

  • インターネット環境は変化が早く、かつ予想が困難。
  • これまでは、プロトコルやアプリケーションも、さまざまな亜種が生まれ、自然淘汰され、利用者に受け入れられたものが生き残るという進化的発展をしてきていて、これが環境変化に強いインターネットを作ってきた。
  • 普及しなかった技術(例えばRSVPやMBONEなど)は、その技術の優劣よりも、既存の環境や関連技術とのシナジーが作れなかったのが原因。
  • IPやTCPなどコアプロトコルはあまり変わっていないが、それこそが上下の層で多様な進化をするための基盤となっている。
  • 再設計しても、実用化される10年後にはすでに時代遅れになっているだろう。
  • 再設計もいいが、進化的アプローチの研究の重要性を再認識して、進化の種となる亜種を生む多様な研究をサポートするべきた。

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